レタスの生育
定植後の生育
レタスの生育期間は時期によっても異なりますが、本葉4枚程度で定植してから結球して収穫に至るまで、40〜60日(播種してからだと、2〜3か月)くらいかかります。やはり暖かい時期の方が生育期間は短くなります(生育が早くなります)。暑すぎてもだめですが。(下の写真は、左(上)から、定植直後、定植15日後、定植1か月後、収穫期の様子。白い四角の紙は名刺。)
雑草の管理
植え穴から生えたカナムグラ。いずれ大きく育つつる性の雑草なので、小さいうちに抜き取らなければいけません。
たったこれだけの管理ですが、特に問題はありません。むしろ菜楽では雑草と共存・共栄(?)しています。
例えば、雑草が生えると、、、
- 雑草が地面を覆うので、雨が降っても泥がはねあがらない。
- 雑草がしっかり根を張っているので、雨が降っても土が流れない(傾斜のある畑では特に重要)。
- 雨が降っても土が流れないだけでなく、根を伝って水が土にしみ込みやすくなる。
- いろいろな種類の植物が生えてくるので、特定の病気や害虫が大発生する危険性が低い。
- 植物の種類に応じて土の中でも多種多様な微生物が活動しているので、土が生き生きとしておいしい野菜ができる。
など、色々とメリットもあります。
病気への対策
レタスの病気の主なものには、菌核病、すそ枯れ病、軟腐病、腐敗病、べと病などがあります。暑い時に出る病気、涼しい時に出る病気、その他いろいろ病気の発生には特徴がありますが、全般的に、雨が多くて水が溜まると病気が出やすくなります。
菌核病のレタス(上側)
菌核病のレタス(下側)
すそ枯病のレタス(下側)。この程度なら、上から見ると健康な株と変わりません。
そんなわけで、水切れの良い傾斜地でレタスを作ると、雨が降っても病気にかかりにくくなるのです。
また、同じ畑で何年も続けて同じ作物を作ると、病原菌が増えて病気が出やすくなります。土壌消毒でこれを防ぐやり方もありますが、菜楽では土壌消毒をしたことがありません。(環境にも悪いし、お金もかかるので。)
むしろ有益な微生物を増やして、病原菌が増えにくい土作りに取り組んでいます。また、毎年違う畑で作物を作ることで、病気が出にくい環境を作っています。
しかしそれでも発生してしまう病気に対しては、基本的に農薬で対応しています。農薬はできるだけ使いたくないのですが、人間が病気の時に薬を飲むのと一緒で、止むを得ない面があります。農薬を使うにしても、当然ながら安全基準の範囲内です。
害虫・その他
レタスの場合、害虫の被害が大きな問題になることはそれほどありませんが、時には害虫が大発生することもあります。右の写真はオオタバコガ(幼虫)が大発生した時(2004年 秋)の被害の状況です。葉はボロボロに食い荒らされ、見るも無残です。外側だけならまだしも、奥深くまで侵入されるとどうしようもありません。
害虫への対処には農薬も使いますが、大発生した害虫には農薬の効果も充分ではないのです。あまり何度も農薬を使いたくはありませんので、結局は1匹1匹手でつまんで駆除するしかありません。何千個もあるレタスの害虫を手作業で駆除するのがどれだけ大変か、ご理解いただけるでしょうか?その時の害虫の発生具合にもよりますが、農薬の使用を抑えている分、多少の虫食いはやむを得ない面もあるのです。
また、あまり知られていないかもしれませんが、温度や光などの物理的な環境要因によって、植物に様々な障害が出てくることがあります。右の写真は日焼けの様子です。レタスに限らず植物全般に言えることですが、太陽光線が強すぎると葉緑素が壊れて葉の緑色が薄くなったり、植物によってはアントシアニンが蓄積して赤っぽくなったりします。いずれの場合も、ひどくなると葉の細胞が死んでしまい、いわゆる“焼け”の症状が出ます。人間の日焼けみたいなものでしょうか。
不思議なことに、同じ品種でも結球する前は日焼けしませんが、結球すると日焼けしやすくなります。また、しばらく曇天が続き、急に晴れて気温が上がったりすると日焼けが起こりやすくなります。日焼け以外でも、低温で葉が凍結すると表皮がはく離してしまいますし、高温でも生育障害が出ることがあります。
ちなみに、生育障害ではないのですが、レタスは高温に当たると花が咲いてしまうのです。花が咲いたレタスは商品になりませんから、農家の立場から見れば損害になりますこういった低温や高温に対するレタスの反応は、品種によって程度の差があります。レタス栽培で最も大切なのは、栽培する時期に適した品種を選ぶことです。暑い時期には暑さに強い品種を、寒い時期には寒さに強い品種を選ばなければいけません。この、品種の選定を誤ると、ひどい時には全く売り物にならないレタスができてしまいます。右の写真は時期に合わない品種を作った例ですが、生育異常が出てしまいました。通常であれば、こんなに小さなうちから結球が始まることはありません。(季節は違いますが、正常なものはこちら)
その他季節ごとの管理
早春に定植するものは、まだ寒い時期なので不織布とトンネルと防風ネットで保護することは「レタスの定植」でも書きました。これらは気温が上がってくると不要になるので(暑くなりすぎるとむしろ害になります)、暑い日にはトンネルのすそを上げて換気します。4月10日頃にはこのトンネルと不織布を取り除き、5月10日頃からの収穫を待ちます。この間、晩霜の恐れがあるときは、もう一度不織布をかけて保護します。
晩秋から冬にかけて収穫するレタスも、やはり霜に当たらないように不織布をかけて保護します。ただし、春先の苗のようにトンネルはかけません。また、雪が降ってレタスの上に積もると雪の重みで傷んでしまうので、昼夜を問わず雪かきをしなければいけません。
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